役員報酬には多くのメリットがありますが、一方で企業や役員個人にとって注意すべきデメリットも存在します。適切な制度設計を行わなければ、税務リスクの増加や企業経営の負担が重くなる可能性があります。
企業にとってのデメリットとは?
企業が役員報酬を適切に設定しない場合、財務的な負担が増加する可能性があります。特に、固定報酬が高額に設定されていると、業績が悪化した際にも支払いが必要となり、経営の柔軟性を損なうことがあります。
また、税務上のリスクも大きな課題です。役員報酬は法人税の損金算入が認められていますが、過大な報酬は税務署によって否認されることがあります。適正額を超えると「役員賞与」とみなされ、法人税の負担が増加するため注意が必要です。
さらに、役員報酬の不適切な設定は、従業員や株主の不満を招く可能性があります。役員だけが高額な報酬を受け取ることで、従業員のモチベーションが低下したり、株主からガバナンスの問題を指摘されたりするリスクがあります。
役員にとってのデメリットとは?
役員報酬には、個人としてもいくつかのリスクが伴います。まず、給与所得としての税負担が大きくなる点が挙げられます。特に高額な役員報酬を受け取る場合、累進課税の影響で所得税の負担が重くなる可能性があります。
また、企業の業績に連動する報酬制度が導入されている場合、報酬額が景気や業績の変動に左右されるため、収入が安定しないリスクがあります。
特にストックオプションや業績連動型報酬を多く取り入れている場合、株価の下落や業績悪化によって大幅な減収となることも考えられます。
加えて、経営責任の増大に伴い、役員自身のプレッシャーも大きくなります。業績が低迷すると報酬の適正性が問われるだけでなく、株主や従業員からの評価が厳しくなり、経営陣としての立場が揺らぐリスクもあります。